営業支援システムとは、営業活動でのIT活用を通じ、業務の高度化・効率化を目指すシステムの名称です。
★本ページの内容:
1. 顧客の購買行動およびシステムについて
「業務システム」の説明で、「ほとんどの業務システム導入は業務効率化によるコスト削減を可能にしますが、売上アップに直接貢献する仕組みではありません」と述べましたが、「営業支援システム」の目的は間違いなく「売上・利益を上げる」ことです。 「売上・利益を上げる」ための手法としては、秋票のとおり、「営業員の行動管理」や「顧客との関係性の強化」が挙げられます。
No. | システム手法 | 内容 | 備考 |
1 | 営業員の行動管理 | 自社営業員の行動を管理し、営業業務を効率化すること(営業員のIT武装化)。 | 営業支援ツール(SFA, Sales Force Automation) |
2 | 顧客との関係性強化 | 顧客のことを徹底的に知り、最適な対応・商品・サービスを提供することで、より多くの優良顧客を獲得して、リピート率向上を目指すこと。 | 顧客関係管理(CRM, Customer Relationship Management) |
下図は、営業支援システムである「SFA」および「CRM」(上表の1と2)の位置付けは、顧客の購買行動から各システムまでを整理したものです。
各システムの主な機能は、下表のとおりです。
No. | SFAの機能 | CRMの機能 | 参考:販売管理システムでの 各種取引先データ管理機能 |
1 | 顧客情報管理 | 顧客情報管理 | 得意先情報管理 |
2 | 営業日報 | メール配信 | 取引先情報管理 |
3 | ToDo管理 | シナリオ設定 | 仕入れ先情報管理 |
4 | タスク振り分け | フォーム作成 | ---- |
5 | 商品検索 | リマインドメール | |
6 | 見積書作成 | サイト作成 | ---- |
7 | 契約書作成 | アンケート調査 | ---- |
8 | 売上予測 | ---- | ---- |
9 | 見込み客評価 | ---- | ---- |
10 | レポート | ---- | ---- |
11 | ダッシュボード | ---- | ---- |
各システムで管理している主な情報は以表のとおりです。
No. | SFAで管理する顧客情報 | CRMで管理する顧客情報 | 参考:販売管理システムで 管理する得意先情報 |
1 | 企業名 | 企業名 | 企業名 |
2 | 担当者氏名 | 担当者氏名 | 企業住所 |
3 | 担当者連絡先 | 担当者連絡先 | 連絡先 |
4 | 担当者部署・役職 | 担当者部署・役職 | 取引先通貨 |
5 | 企業所在地 | 企業所在地 | 請求先 |
6 | 折衝履歴(日時) | アンケート結果 | 回収先 |
7 | 案件内容 | ---- | ---- |
8 | 商談内容 | ---- | ---- |
9 | 抱えている課題 | ---- | ---- |
10 | 興味・関心 | ---- | ---- |
11 | 営業員のコメント | ---- | ---- |
SFAとCRMのとちらのシステム導入も目的ではなく手段に過ぎません。 「売上・利益を上げる」ために「見込み客情報・顧客情報や営業活動情報をどう利用して何を効率化し、どれだけ結果を出すか」を明確にするのが一番大切なポイントです。自社の営業戦略に基づいた営業支援システム導入の検討が肝要です。
マーケティングオートメーション(Marketing Automation)の概要:
「マーケティングオートメーション(Marketing Automation, MA)」とは、企業のマーケティング活動のプロセスを支援する仕組み、あるいはマーケティング業務をIT活用にて自動化することで業務効率化、生産性向上を図るシステム・ツールの総称です。商品市場のターゲットである潜在顧客から見込み顧客を特定し、最終的に顧客を獲得するプロセスが対象です。
取り扱っている商品・サービスにもよりますが、比較的対象単価が高く、かつ個別カスタマイズが必要な商品やサービスにおけるマーケティングでは、潜在顧客の「名刺情報」を得ることがキーとなります。全体の流れは以下のとおりです。
- スタートは、潜在顧客の「名刺情報」を得ることです。事例を紹介します。
- 自社商品を紹介しているホームページに誘導する広告の仕組みを利用して、潜在顧客の名刺情報を得ること
- セミナー開催や展示会に参加して、名刺交換にて潜在顧客の名刺を獲得すること
- 飛び込み営業や既存顧客からの紹介で潜在顧客の名刺を得ることなど
- 収集できた名刺を名刺管理ソフト(※)に入力し、データをデータベースで一元管理します。各商品のターゲット別にセグメント化した後、営業戦略に基づいて、絞られた対象への電話、パンフレット送付、個別営業メールやメールマガジンを通じて、見込み顧客を特定していきます。
- 特にポジティブなフィードバックがあった潜在顧客は見込み顧客となりますので、アポイントをとってオンライン・対面にて顧客のニーズを聞き取って、適切な商品をアピールする場を設けます。
- 商談の結果、見積~受注までつながれば新顧客獲得成功となります。
※名刺管理ソフトは、単に名刺情報と名刺の写真のみを管理するソフトもあれば、クラウド上の名刺管理サービスもあります。このサービスではデータベースへの名刺情報および写真の自動入力、価値ある情報も付加のほか、データの検索、グルーピング、営業関係者間の共有化が可能です。絞られたターゲットへメールマガジンでの広告送信、ターゲットのための個別WEBサイトの作成して、このインターネット上のアドレス(URL)メール送信する機能、各フィードバックの集約や、昇進や異動など名刺情報に変更があった場合のアップデートのようにあらゆる角度から支援する機能を揃えています。後者が代表的なマーケティングオートメーションツールです。イメージ図は次のとおりです。
ワンポイントメッセージ:営業支援システムの目的は「売上・利益を上げる」ことに他なりません。
次項の”原価管理システム”は「こちら」をクリックしてご参照ください。