課題の事例
目の当たりにした他社におけるIT要員に関する課題を紹介します。
両名とも自分なりに頑張っていましたが、やはりスキル不足のために既存システムの運用・維持に努めるしかありませんでした。パソコンを含む既存システムのリプレイスまではできますが、会社の全システムをどのように全体最適化・標準化するかを構想するスキルがないため、イノベーションの導入はいつも見送っていました。
具体的には、会計システム、販売管理システムや生産管理システムのような既存の個別システムのリプレイスは既存ベンダーの協力を得てなんとか頑張れますが、会計機能、販売管理機能および生産管理機能を全部統合するシステム(通称、ERP)の導入についてのノウハウがないため、ERP導入により事業に支障を来すリスクが高いと考え、ERP導入はいつも先送りしていました。
そして、ご自分のITに関するスキルが不足しており、かつ独学ではITマネジャー・ITエンジニアにはなれないと理解していたため、「自分が定年を迎えるまで、既存システムをトラブルなく運用して、新機能追加などの作業は何もしたくない。イノベーションや新システムの導入は次の部長がやればいい」というのがB部長の本音でした。
次の部長も同じ考えで、半恒久的にリプレイス案件に従事していました。結果、ビジネス環境に変化があったにも関わらず、20年前の陳腐化したシステムを使い続けて、業務に支障をきたすようになり、最終的に社内の人材では対応できなくなりました。
IT知識が不十分な者にIT業務を担当させると、キューバの自動車整備士のような仕事になりがちです。説明しますと、キューバでは現在でも1950年代の旧車を使用しております。そしてこの車が故障した場合、整備士は古い部品を見つけて、なんとか直して動くようにしますが、新車を作ることはできません。
課題に対する解決案:
- 貴社社員にITの専門的な教育を受けさせて業務に従事させることです。
- ITの専門的な教育を受けていて、かつIT業務の知識・経験を有する「ITマネジャー・ITエンジニア」レベルの人材を中途採用することです。
ワンポイントメッセージ:最新の情報技術(IT)に古い価値観がついていけないという、中小企業の組織体質が課題である。IT関連マターはジェネラリストのような非専門家に任せるべきではない。
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